底地借地のおはなし

底地借地権に関するこれまであった相談やお悩みから学ぶことで人生がハッピーになる方法

承諾料について

 

借地権にまつわる承諾料

承諾料

 

借地の地代は地価に比べて非常に安いものです。かわりに、建物を建て替えるなど、借地人さんが何かしらの動きを起こそうとすると、地主さんからまとまった金額を請求されることになります。 借地人さんから地主さんへ承諾料については次のようなものがあります。


①増改築承諾


借地契約では、契約書のなかで増改築禁止およびそれに違反した場合の無催告解除を載せている場合が少なくありません。増改築禁止の特約があれば、借地人さんが無断で増改築を行った場合には借地契約解除の対象となります。しかしながら、違反したからといって地主さんはすぐに契約解除権が行使できるわけではありません。契約解除できるのは、借地人さんが無断で増改築を行ったことで、地主さんとの信頼関係を破壊する恐れがあると認められた場合のみです。
 借地人さんが地主さんに増改築を申し出ても地主さんが承諾しないという場合、地主さんの代わりに裁判所が増改築の許可を出すことも許されています。 その場合も含め、地主さんは借地人さんに増改築承諾料を請求することはできます。

増改築承諾料は、木造(非堅固建物)であれば更地価格の3%前後、鉄筋等(堅固建物)であれば、更地価格の8〜12%というのが目安です。
例えば坪あたり時価200万円 20坪の(更地価格4000万)の借地に、借地人さんが木造の家を建て直したいという場合、地主さんは 120万円前後の承諾料を請求できることになります。
(堅固建物の場合、320万〜480万)

ではなぜ増改築することで承諾料を請求できるのでしょうか。
建物を建て替えると同時に、借地契約を更新したのと同じ効力を持ちます。なぜなら、借地人さんが承諾を得て建物を建て替え、その建物がもとの借地契約の期間を超えて存続することができるものであれば、承諾を得た日または建物が建った日のいずれか早いほうから20年間、借地権が存続することになるからです。
つまり、契約を更新したのと同じことですから、地主さんが増改築の承諾料を請求するときは、更新料の要素も加味したうえで金額を請求することができるからです。
さらに増改築の承諾に関する交渉は、ついでに地代の値上げを提示するのにも良い機会になります。 借地人さんの立場でみると、増改築には建築費の他にまとまった費用を用意しなくてはいけません。そうであればこの際、底地を買い取って100%所有権にするということも選択肢の一つです。家が古くなったり、家族構成が変化したりして建て替えたいと考えるようになったときは、 このまま借地に住み続けるのかも含めて、「ライフプランを再検討する」よい機会だといえるでしょう。

 

②名義書換(譲渡)承諾

 

借地人さんが借地権を無断で第三者に譲渡した場合には、原則として地主さんに解除権が発生します。とはいっても、判例では、地主さんと借地人さんとの信頼関係を破壊するような特段の事情がないときはこの解除権は否定されています。
地主さんが借地権の譲渡を承諾しない場合は、借地人さんが異議申立てをすれば裁判所が代わりに許可を出せるようになっているので、無断譲渡を理由に地主さんが解除できるケースはほとんどありません。
結局のところ、地主さんは承諾料を受け取って納得せざるを得ないのですが、その額は以下の計算方法が目安になります。
名義変更承諾料=借地権の売買価格× 10%
借地権の売買があれば、その10%を地主さんに支払うのが通例です。あまりに安い金額で売買されそうな場合には承諾料も低くなるので、地主さんがその価格で借地権を買い戻しすることも可能です。(地主が借地権を優先的に買い戻しできる権利「介入権」)
借地権を相続で取得したときは譲渡とはみなされません。また、借地人さんが自分の経営する会社に名義を変更したとしても、 信頼関係を破壊しないので無断譲渡にはなりません。いずれにしろ、借地人名義を変更する場合には、事前にその旨を地主さんに伝え地主さんと借地人さんの円満なお付き合い人間関係を作っておくことが必要です。

 

③ 条件変更


条件変更とは、非堅固建物 (木造)から堅固建物 (鉄筋等)へ契約条件を変更することです。 この場合、近隣がすでに堅固建物で利用されている地域であれば、地主さんが承諾しなくても、裁判所が許可を出すことがあります。建物の構造が変更されるということは、増改築をする際の申し出ですから、 増改築承諾料も含んでいると考えるのが通常です。
増改築承諾料+条件変更承諾料=更地価格の 10%
これが目安となります。
この場合も、地主さんが地代の値上げを提示する機会になります。
借地人さんとしてみれば、鉄筋の建物を建ててここに長く住む事を考えているのでしょうから、承諾料を支払うのではなくこの際に底地を買うほうがメリットがあるかもしれません。



借地人さんが何かしらの動きを起こそうとするときは、承諾料という名目で大きな金額が動きます。地主さんも借地人さんは、このタイミングで底地借地関係を解消する良い機会です。よく検討してみてください。