「高齢者には高齢者ならではお考え」があるようです。
高齢の兄弟が借地権を相続した際の、見解やお考えも人それぞれだなあというお話です。
一人暮らしで結婚もしておらずお子様もいられない方でした。この方は兄弟が他に４人おられました。兄弟の方たちも７０代以上でしたが皆様５名ともお元気にされていたのですが突然借地人さんが急遽されることになりました。
亡くなられた次男様はお子様がいられないため法定相続人は兄弟４名になられます。こうして次男様の相続を兄弟ですることになりました。
その際にやはり「借地権はどうしよう？」ということになり相談をはじめました。
それぞれ皆さんご自宅を持っており、移り住むなんてことも考えてはおらず、借地権をもっていても地代も払わないといけないし、後々は更地にして返さないといけないやっかいなものと考えられておりました。
そこで私共に相談があったのですが、遺産分割協議書というのも書かないと行けないようだし、そもそもどうしたらいいのか相談に乗って欲しいというものでした。
改めてお話を聞くと、やはり皆様この建物（借地権付建物）は誰も使用しないし、使わないのに地代を払いたくないということで、できれば処分をしたい。とのことでした。
ただ借地権を売却したい場合、地主さんからの承諾が必要になります。そのため兄弟の皆様に、まずは地主の方に借地権を売却することについて相談をしてみてください。とお伝えしました。すると数日後、兄弟の方を通じて地主さんからこちらに連絡が入り、「借地人さまから詳しい話はわからないのでこちらに連絡してほしいと伝えられたので連絡しました。借地の売却を考えているのであれば、実は私自身も高齢で今後どうしようかと悩んでいたところなので一緒に底地についても相談にのってほしい。」との連絡を頂きました。
地主さんのところへ話を伺いに行くと、地主さんも高齢で、借地を買い戻すなんてことは考えていない。むしろ底地を借地人さんである兄弟の方に買い取っていただき、所有権にして売却してはというお考えのようでした。
そこで帰ってからこのことを兄弟皆様に伝えると、買い取って所有権として少しでも高く売れるという話はいいことだけれども、売却をする前に一時的にでもお金を出して買い取ることは賛成出来ないと。
これまでの人生で不動産の売買をする機会も一度あるかないか、大きなお金が動くことや、私共を信用はしていただいているものの老後の蓄えを一時的にでも出すことに躊躇してしまっているようでした。
そこで私達からできることをいくつか提案させていただき、結果として借地人様である兄弟から借地権と地主様から底地を同時に購入させていただき、借地人の兄弟は４人で均等にお金を分け、地主の方もお金に変えたことでその後の心配を無事取り除くことが出来ました。
お会いする高齢の方で、「この歳でお金のことでこれまでしたことがないことや、少しでも不安を感じることはやりたくない。」と言われる方は少なく有りません。お考えや見解も状況や年齢などでも変化しそれぞれであることを改めて認識しました。
